監獄アカデミア
2018年9月21日
ぷちぱら文庫
著:蝦沼ミナミ
画:Sian
原作:Anime Lilith
9月29日発売のぷちぱら文庫『監獄アカデミア』のお試し版です!


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徹底的に快楽を植え付けて
最強の女英雄を堕としてやる!!






 カールソン学園地下に存在する広大な秘密監獄。迷路のように入り組んだ通路を抜けた先に、その部屋はあった。

 電子機器、有機デバイス、拘束装置、施術台……様々な装置がところ狭しと並べられている。
 さながら巨大な機械のはらわたに呑み込まれたかのような、その部屋の名は通称「洗脳ラボ」。
 それこそがペインたちの武器だ。
 たった五人の少年工作員から始まったヘルメス自由軍が、これまで様々な謀略を成し遂げてこられたのも、洗脳装置《メモリープラント》を中核とする、この一連のシステムがあればこそだった。

「首尾は?」
「順調だよ。すべて計画通りだ」

 答えたのはカール・モルガン。
 ヘルメス自由軍の幹部メンバーであり、ペインの無二の相棒だ。彼が指さした先には、ペインたちの宿敵である女たちが洗脳装置に拘束されている。

 一人はユーリア・ブラッドストーン。
 二つ名は「雪原の戦乙女《フェンリル》」。軍を率いれば並ぶ者のない、太陽系下にその名をとどろかせる知将である。

 そしてもう一人は、エリザ・パールマン。
 猫科の猛獣にも似た、凶暴な美貌の美女である。「氷上の死神《ペイルライダー》」の異名をほしいままにする彼女は、ひとたび戦場に立てば文字通りの一騎当千。愛用の電磁円月刀で、これまでに数え切れないほどの敵兵の生命を刈り取ってきた。

 ユーリアの知謀とエリザの勇猛が赴くところ、抗える敵など存在しない。
 彼女たちはまさしく、この宇宙で最高レベルの英雄だ。
 だがその二人が、今はなすすべもなく囚われている。洗脳装置の拘束椅子に固定されたユーリアたちの目に意志の光はなく、ただぼんやり虚空に視線をさまよわせるばかり。たっぷりと注入してやった媚薬系麻酔が、思考を麻痺させているのだ。

 二人の両腕は後ろ手に拘束され、両脚は大股開きで固定されている。下着は脱がされ、淫唇までもがパックリと開いた状態でクリップで固定され、内部の赤い媚肉が剥き出しになっていた。

 カールに少し遅れて、残る三人が歩み寄ってくる。

「手間をかけたな、アウグスト」
「それが俺の仕事です。会長」

 アウグストは、カールと並ぶ武闘派だ。
 つい先ほどの戦闘でも、カールと二人で十二名の特殊部隊を片付けてくれた。

「博士、メモリープラントの状態は?」
「すべては順調だよ。驚くほどにね。あとは君の指示次第。どのようなばかげた記憶でも、あのメスどもの脳内に擦り込んでごらんに入れるよ」

 ヤーコブ・ヘンゼン――通称「博士」。彼はメモリープラントの扱いにかけては、並ぶ者のない専門家だ。
 二十三世紀の科学をもってしても、人間の脳の秘密は解明しきれているとは言いがたい。
 その神秘のベールの奥に手を突っ込み、思うままに操作するには独特の機微が必要だ。神経細胞に絡みついた記憶と感情の糸を解きほぐし、驚嘆すべき精度で繋ぎ変える彼の手腕なくしては、このラボを埋め尽くす機材の数々も見かけ倒しの置物でしかない。

「準備は万端といったところか」
「然り然り! とっておきの媚薬系麻酔を振る舞っておきました。今はお二人も、はしたなく大股を拡げて夢心地といった有様ですな!」

 オットー・アイゼンハイムは、監獄出身の若き科学者だ。
 ネオ・テラーズ派の技術官僚だった父親を拷問によって殺されたことから、ニュー・ソラルに対して激しい憎悪を抱いている。
 その憎悪と、生来の嗜虐性癖が結びついたとき、最凶の狂科学者が誕生した。今や彼は人体改造のエキスパートであり、これまでに数え切れないほどの女たちを生きた性玩具へと作り変えてきた

「今日は徹底的にやってくれ。我らが愛しき英雄どのを、この宇宙で一番惨めなメス豚に堕としてやろう」
「ひひっ、承知! 腕が鳴りますな」


 








 メモリープラントの特徴は、相手の脳内に、こちらにとって都合のいい第二の人格を作り上げることだ。洗脳が完了して新しい人格が完全に定着すれば、ターゲットとなった人物はこちらの望むまま、どのような行為でも嬉々として行う傀儡と化すのだ。

「始めてくれ、オットー」
「承知っ! では、豚どもの洗脳改造を開始いたします!」

 芝居じみた大げさな仕草で敬礼すると、オットーは機器の操作を始めた。
 洗脳台に拘束された二人に、蛍光色のチューブが無数に群がる。それらはまるで生きた触手のように獲物に這い寄ると、長い口吻を二人の肌に突き立てた。

「んんっ!? く、うう、んうっ」
「くあぁ、あっ、おぉっ………」

 二人の眉がピクリと動き、かすかに身じろぎをした。
 美女二人の苦悶する様は、なんとも昂奮を誘う。

「オットー、これは例の薬か?」
「ご明察! このメス犬どもの体内にドクドクと注がれているのは、我が生徒会が誇る浸蝕型性神経活性化ウィルス、通称ビッチウィルスです!」
「ははは……そうか。英雄どのもお気の毒に」

 脇腹、内もも、二の腕、乳房、首すじ……触手状チューブが二人の肌を這いまわり、その長い口吻を突き立て、薬液を注入してゆく。

「あ、うぅ、んっ……あぁっ……」

 そのたびに二人はかぶりをふり、切なげなあえぎを漏らした。たとえ意識はなくとも、媚薬漬けにされた肉体が刺激に反応しているのだろう。

 浸蝕型神経活性化ウィルス。
 オットーがその偏執的な情熱をもって開発したそれは、別名をビッチウィルス。外部からの操作によって指定した部位の性神経を活性化させ、性感帯へと改造するナノ・マシン群だ。
 肉体の機能そのものを「浸蝕」するそのウィルスは、通常の媚薬のように薬効が抜けるということがない。注入後は対象者の体内で永久に繁殖を続け、人間の形をした性感帯のかたまりへと改造してゆくのだ。

「ははは……気の毒な話だな。我らが敬愛する英雄どのは、これでもはや、健全な社会生活を送ることは不可能になったというわけだ!」

 そんな己の未来を知るよしもなく、二人はかすかに乱れた呼吸を繰り返している。
 割り開かれた秘部はヒクヒクと蠢き、白く濁った雫をしたたらせていた。
 二人の体内で、ビッチウィルスが活動を始めているのだろう。二人の進退はビクビクと痙攣し、肌にはじっとりと汗が滲み出していた。

「皮下浸蝕を確認。脊髄、海馬に侵入……巣の生成を確認。組織融合は順調。拒否反応はなし。DNAレベルでの融合も始まっているな」

 改造の進行具合をモニターしているカールが落ち着いた声で報告する。

「ヒヒッ! やりましたな、会長。このウィルスは媚薬と言うより不治の病。感染すればもう引き返せない!」

 報告を聞いたオットーが、小躍りせんばかりに声を弾ませる。
 この時点で、復讐の五十パーセントは成されたといっていい。
 脊髄や脳幹に浸入したビッチウィルスは、そこに繁殖巣を形成する。
 そうなってしまえば、もはや対象者を生かしたままビッチウィルスを除去する方法はない。あとは体内に注入したウィルスを遠隔操作するだけで淫乱汚染は進み、いずれ二人は衣服に肌を擦られる感触にすら絶頂するような色情狂に成り果てることだろう。

「気の毒なものだな。意識もない間に、そんな無様な身体に改造されてしまうとは!」

 その軽口に、仲間たちも残酷な笑みで応じる。
 明日の朝、目覚めたユーリアは、自分の肉体に違和感を感じることだろう。
 健康な女ならだれもが経験したことのある、不意の性欲励起状態――それを何倍かに強力にしたやつだ。
 その違和感は、日増しに大きくなってゆく。自分がなにをされているのかもわからないままに浸蝕は進み、やがて歩行や呼吸、食事、排泄といった、日常の些細な動作ですら絶頂に到る肉体へと変質してゆく。
 それが調教改造だ。神算鬼謀のユーリアも、一騎当千のエリザも、ただ絶頂を繰り返すだけのイキ人形に成り果てる。かわいいメス豚英雄の誕生というわけだ。

「会長どの、まだ改造は始まったばかりですぞ? では、我らが我らが英雄どのを天国へとご案内する、次なる一手――!」

 オットーが機械を操作すると、小さなモーター音をあげながら、マシンアームがせり出してきた。その先端には、なめらかなスティック状の改造プラグが取り付けられている。

「ベース改造か」
「然り然り! ですが、裏町の女衒どもがやるそれとはひと味違いますぞ? このオットー・アイゼンハイムが確立した改造術式はまさしく芸術品!」

 それはかつて、不感症に悩む女性への治療法として始まった。性器の粘膜に処置を施し、性交時に分泌される脳内物質の量を増加させるための手術だ。
 だが、その技術が裏社会の闇医者たちの手にわたったとき、それは女を奴隷化するための手段へと変質した。
 それは文字通り、奴隷娼婦の基盤《ベース》を作るための改造だ。
 改造手術を受けた女の脳内では、性器を刺激されるたびに大量の快楽物質が分泌され、また同時に不安や恐怖を作り出す精神物質を破壊してしまう。
 セックスに対する嫌悪感を化学的手段で分解し、強制的に多幸感を作り出すのだ。この処置を受けた女は、快楽漬けの生活にたまらない歓喜を覚える、娼婦の人格へと矯正されてゆくことになる。

「ところで会長どの。たしかブラッドストーン大佐は熱心な聖典派の信徒だとか――?」

 オットーの言葉で、二人の剥き出しの性器を見比べる。
 ユーリアのそれは、ピンク色に艶めく初々しい性器だった。
 匂い立つような女盛りの女体だというのに、両脚の間に息づく牝花だけは、まるで思春期の少女のように慎ましい。

 ニュー・ソラル市民の多くは巨大宗教であるソラル・ギャラクシーを信仰しているがユーリアはその中でもとりわけ厳格な聖典派の信徒であると聞いている。この初々しい秘部を見れば、彼女がその戒律を忠実に守り、純潔を守り続けていることは明らかだった。

「処女膜には手を付けずに、内部だけ改造してやってくれ。できるか?」
「無論、無論です! さすがは会長殿、我が意を得たりといったところですな!」

 オットーの操作で、アーム先端の改造プラグが緩やかに波打った。自在に形状を変えるこのプラグで、処女膜を傷つけることなく、その内部だけを改造するというわけだ。

 小指よりも細くなった洗脳プラグが、処女膣に浸入してゆく。
 純潔の証である肉膜には、月経血を排出するための隙間が開いている。そこを抜けて奥深くに入り込むと、プラグは再び膨らんで膣奥の拡張を始めた。

「うぐっ、うぅ、あぉああっ……!?」

 ユーリアが呻き、拘束台の上でガクガクと腰を跳ねさせた。
 今、彼女の膣壁にはたっぷりと媚薬が塗りたくられ、牡の性器を欲してやまない淫器官へと改造されているのだ。
 そして、その隣で意識を失っているもう一人も――。

「パールマン中尉には遠慮は無用だ。無敵の豪傑相手に、半端なやり方は失礼だろう」
「ヒヒヒッ、然り然り!」

 エリザは少し前に結婚したと聞いている。
 相手は同じ木星駐留艦隊の男性だ。それなりに新婚生活を楽しんでいるのだろう、彼女の秘部には少し使い込んだ色合いがみえる。ぷっくりと肉厚で、いかにもペニスをやわらかく包み込んできそうな牝穴だった。
 その肉を圧し割り、改造プラグが深々と挿入されてゆく。

「あ、おお、うぁっ……ん、んあぁ、ああぁ、あああぁっ……!?」

 意識のない身体がのたうち、両腕を拘束する金属枷がキチキチと音を立てた。

「すごい暴れようだな」
「無理もありますまい。性器から脳まで、直通の快楽回路を形成する手術です。神経を直接いじるのですから、刺激は強いし肉体への負荷もかかります。その上……」

「いぎあぁあぁっ!?」

 ユーリアが、切迫した悲鳴をあげた。拘束された身体がガクガクと跳ねまわり、金属枷と擦れた手足にうっすらと血の色が滲む。

「おっと、痛覚神経を刺激してしまったようですな。廃人になる前にケアを施しておくといたしましょう」

 ぶうううううううううぅん……。

 微細な振動音が室内に響いた。
 改造プラグが、激しく振動して二人を責めたてているのだ。
 ベース改造による膣内細胞の淫乱化は、本来はかなりの痛覚刺激を伴う。
 それでも対象が発狂せずにすむラインを見極めるのが、加工処置を行う上での勘所だ。だがオットーは、凡百の闇医者たちの逆を考えた。限界を見極めるのではなく、強い快楽で苦痛を打ち消し、限界ラインそのものを引き上げるのだ。

「あ、あ……んんっ……くああ……あ、あぁ、あうぐぅうぅっ……!」
「おっ! あっ! うぁっ!? くひっ……んん、くぐああああぁっ!?」

 両腕を縛られ、両脚を固定され、身体の中心を貫かれながら二人が激しく身悶えする。
 彼女たちの膣内に挿入された改造プラグはオットーの特製品だ。
 形状記憶樹脂で作られたそれは、女の体内で変形し、無数に枝分かれした繊毛アームで肉ヒダの一枚一枚まで丹念に舐めまわす。大量の媚薬を膣粘膜に塗りたくりながら、膣内に点在する快感極点を残らず刺激して、ターゲットの脳を快楽漬けにするのだ。

「ああぅあっ……ひぐっ、ん、んぐっ……ふうぅ……あ、ああぁっ、う、あああぁっ!?」

 その一方で、神経を改造される激痛もまた、激しく脳を揺さぶってくる。今、二人の脳内では壮絶な苦痛と快楽が渦を巻いて荒れ狂っているのだろう。

「淫乱汚染は子宮口まで拡大中。このままだと内臓全体まで影響が広がるが――」
「かまわない。食道から心臓まですべてだ」

 モニターを監視していたカールに、即座に答える。

「まったくお前は容赦がないな」
「クヒヒッ! お二人とも腹パンチでアクメする身体になりますな!」

 カールとオットーが、それぞれの表情で感嘆の声をあげる。

「博士、君の出番だ」

 その呼びかけに応じて、ヤーコブが嗜虐的な意味を浮かべた。
 脳科学のエキスパートである彼の手腕なくして、メモリープラントを使いこなすことはできない。彼が手もとの端末を操作すると、拘束椅子の背後からせり出してきたヘルメットが、二人の頭部から顔面にかけてをすっぽりと包んだ。

「みんなも知っての通り、ここからが洗脳改造の本番だ。新しい人格プログラムを記録したナノ・マシンを二人の脳内に流し込む――」

 言いかけて、ふと、ヤーコブは傍らの相棒の姿を見やった。

「もちろん、オットーが前座って意味じゃない。僕たちが二人揃って、初めてメモリープラントは完全な効果を発揮するんだ。そうだろう?」

 言いながらヤーコブは、神経質そうな手つきで装置を操作してゆく。

「んむぉおおおおおおおおおおぉっっ!?」
「はぎっ!? おごっ!? ぐぎいいぃっ!」

 室内にけものじみた絶叫が響いた。
 両手両脚を拘束された二人が、それでも辛うじて自由になる腰や背中をばたつかせる。遮光バイザーの下では、その美貌を歪ませて苦悶の形相を浮かべていることだろう。

「洗脳プログラムのインストールを開始した。用意したのは会長のオーダー通り、チンポ狂いのメス豚人格だ。もっともこのままでは、その前に本当の狂人になってしまうが……」
「お任せあれ。このオットー・アイゼンハイムが芸術的技巧の限りを尽くして、博士の作業が完了するまで、このメス豚たちの脳を保たせてみせましょうぞ!」

 オットーの操作に合わせて、改造プラグが激しく振動する。
 振動し、伸縮し、転がり、くねり、膨張する。暴力的な愛撫を叩きこまれた二人の下腹部が、ボコボコと変形してプラグの形状を浮き上がらせる。

「うああっ! あっ! ぐあっ! あぅおぉおおぉあっ!? んっ……んう、うぐっ……ぐっ、うぉああっ……あぐ、ひぎぃっ……う、ぐあぁっ! はぎゃぁああああああぁっ!?」

 発狂レベルの激痛に悲鳴をあげる脳に、同量の快楽刺激を送り込む――。

 理屈はベース改造と同じだ。
 今、二人の脳内では激しい苦痛と快楽とが渦巻いている。常人には受容しえない激烈な刺激が、のどから絶叫をほとばしらせる。鍛え抜かれた肉体が激しく跳ねまわり、金属枷が軋んで痛々しい音をたてた。

「会長。?イク?神経網の解析が完了した」

 静かな昂揚を込めた声で、ヤーコブが告げた。
 洗脳プログラムを注入する一方、彼は快楽刺激に対する脳内の反応を監視し続けていたのだ。性刺激が脳内のどこの部位を経由して、どのような快楽を発生させるのか。そのマッピングが完了すれば、もはや脳を直接「叩く」だけで絶頂感を作り出すことができる。

「やってくれ。絶頂倍率は十倍だ」
「了解」

 冷静冷徹な青年科学者は、唇の端でかすかに微笑んだ。
 優秀なメス豚人格の精製には?イク?神経網の開発が欠かせない。
 そのために、女どもには発狂寸前まで、何度も、何度も絶頂を叩き込む必要がある。だが、性本能を丸裸にした今のユーリアたちならば――。

「おほぉおおおぁあああぎぃああぉあぁっ!?」
「ぐぎあひゃあぁぐはぁあぐああああぁっ!」

 毒々しい甘みを帯びた絶叫がほとばしった。
 直接、神経に電気刺激を与えて作り出した強制アクメだ。通常のセックスとは違う、一切の雑味がない純粋な性感。しかもヤーコブの手心一つで快感の量は思うがままだ。今、二人は通常の十倍にも及ぶ、激烈な絶頂感を味わわされているのだ。

「続けてくれ。段階的に絶頂倍率を上げ、最後は五百倍に」
「君は悪魔だな」

 ヤーコブの声に、隠しきれない歓喜が宿っている。
 冷静を装っていても、彼は紛れもなく同志だ。その胸中にはニュー・ソラルへの熱い敵意が宿り、その性向は冷酷なサディズムに傾倒している。

「おおぉぐあぁっ! あぎひぃっ! おっお……あおっ……うぐ、あ、あぁっ! ぐがあぁっ! いぎひぁあぉあぁっ! あがはああぎゃあああああああああぐはぁあぁっ!」


 








 彼が装置を操作するたび、二匹のメス豚が淫叫する。
 それは未熟な肉体に、イき方を教え込む工程だ。
 ほんの細いけもの道のようだった性神経を押し拡げ、踏み固め、絶頂へと到るハイウェイを形成する。望まぬ絶頂を繰り返すたびに、よりイきやすい肉体へと変質してゆくのだ。

「脳の状態はどうだ、カール?」
「まだ許容範囲だ。この強靱さには感服するな」

 洗脳装置メモリープラントによって流し込んだ新人格は、そのままでは脳に定着しない。
 そのために使うのが、恥辱と快楽だ。人間によって根源的な欲求である性欲を利用して、精神の防壁を突き破るのだ。
 絶頂を覚えるたびに生来の人格による抵抗は弱まり、激しい恥辱を乗り越えるたびに、本来持っていた常識や倫理感が麻痺してゆく。そのためのビッチウィルスであり、ベース改造であり、神経網の開発だ。二つの人格が併存する慣らし運転の期間が終わり、完全な傀儡化が完了するまで――。

「君の見立てはどうだ、博士」
「半月……できれば一ヶ月はほしいところだな」
「無理だ。それでは計画に間に合わない」
「だからそこは、彼の腕次第さ」

 ヤーコブは傍らの相棒を見やった。その視線を受けたオットーが、かかとを揃えて大げさに敬礼してみせる。

「お任せあれ! この二人を、どんな洗脳もされるがままに受け入れる娼婦の肉体へと仕上げてごらんに入れましょう。博士の悪魔的洗脳術と、オットー・アイゼンハイムの芸術的調教改造が、英雄気取りの女どもをメス豚へと生まれ変わらせるのです!」

 彼の宣言に、ヤーコブがにんまりと口角をあげる。

「一週間だ。オットーが二人の肉体を完璧に仕上げてくれるのなら、僕も全力を出せる」

 この実直な青年科学者は、見栄やはったりを口にするタイプではない。つまり式典までに、確実にこの二人を仕上げてくれるということだ。

「この二人には、自らが作り出した地獄の清算をしてもらう。それが同胞たちへの弔いだ。この糞女どもを、その罪にふさわしい肉体に生まれ変わらせてやる!」

 カールが頷く。
 オットーが歓声をあげる。
 ヤーコブが昏い笑みを浮かべる。
 アウグストが落ち着いた視線を返す。
 四人が四様に賛意を示す背後で、二人分の声が淫声が響きわたる。

「あおおぉっ! おほぉっ! んっん、んぐっ……あ、あああああぁひぃっ!? ひぐあぁあああっ! あおぉあぁああああっ! んんくああはぁああああぐぁああああぁっ!」

 二人の秘部から大量の牝蜜があふれ出し、床にまで滴り落ちて液だまりを作っていた。
 すでに細胞ビッチ化の取り返しのつかないところまで進行している。今の二人なら、軽く性器を撫でてやっただけで身をよじりながら悶絶することだろう。

「はははっ、すばらしい。なんと惨めな姿だ!」

 刻一刻とあさましい体に変化していく仇敵の姿を眺め、ペインは会心の笑みを浮かべた。








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(C)MINAMI EBINUMA/Anime Lilith